【雷と龍が目覚めた場所】修験の聖地・大峰山龍泉寺で出会った“水の力”
奈良・天川村。大峯山の登山口に広がるこの地には、
「日本の修験道はここから始まった」とも言われる場所があります。
それが、大峯山龍泉寺。

このお寺が生まれたきっかけは、
今からおよそ1300年前。
大峯山を開いた役行者が修行の途中、
岩の奥から勢いよく湧き出る泉を見つけたことでした。
ただの水ではありません。
澄み切った空気の中で、
ごうごうと音を立てて湧くその泉は、
「龍神が棲む場所」と信じられ、
役行者はそのほとりに八大龍王尊を祀り、修行を行ったと伝えられています。

この泉は「龍之口」と呼ばれ、
龍神が口を開いて水を吐き出しているように見えたことから、
この地は龍泉寺と名付けられました。
背後にそびえる大峯山は、
修験道の聖地そのもの。
役行者が山頂で祈りを捧げていたとき、
激しい雷鳴とともに現れたとされるのが、
怒りの形相をした蔵王権現です。
荒れた世を救う力を持つ存在として、
蔵王権現は大峯山のご本尊となり、
ここから日本独自の修験道が本格的に広がっていきました。
さらにこの山には、
かつて雌雄の大蛇が住み、修行者の道を阻んでいたという伝承もあります。
その大蛇を退け、大峯修験を復興させたのが、
醍醐寺を開いた聖宝理源大師でした。

雷、龍、水、山。
どれもが「自然の力そのもの」であり、
人が支配するものではなく、
敬い、感謝しながら向き合う存在。
修験道の根本にあるのは、
強くなることではなく、
自然の恵みを受け取り続けて生きているという自覚なのだと、
この場所に立つと実感します。
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